私たちは札幌市北区で3室(SAPPORO NORTH、旅館業許可 札保生許可(旅)第64号)を運営しています。地下鉄の駅から徒歩4分の住宅街で、東京の3室と同じ会社、同じマニュアルで回しています。
先に結論を書きます。冬に効くのは、雪が積もっている2月の頑張りではなく、その手前の11月の準備です。11月は自社の札幌3室で年間最低の稼働でした(2025年8月からの12か月、2026年8月21日時点、運営データ)。売上がいちばん薄い月に、冬支度の手間と費用がまとめて来ます。
札幌の冬の稼働は、いつ始まっていつ終わりますか
自社の3室では12月に始まり3月に終わり、その前後の11月と4月がはっきり落ちます。同じ12か月を東京の3室と並べると、季節の形が違うことが分かります(2026年8月21日時点、運営データ)。
| 月 | 札幌3室 | 東京3室 |
|---|
| 2025年10月 | 80.6% | 95.2% |
| 2025年11月 | 68.3% | 93.3% |
| 2025年12月 | 87.1% | 78.5% |
| 2026年1月 | 83.9% | 80.6% |
| 2026年2月 | 94.0% | 84.5% |
| 2026年3月 | 90.3% | 84.9% |
| 2026年4月 | 71.1% | 90.0% |
12月から3月の平均は88.8%、残り8か月は78.6%で、差は10ポイント。ただし最高(2月94.0%)と最低(11月68.3%)は25.7ポイント開いています。冬の計画は平均ではなく、この振れ幅の上に立てます。同じ11月に東京は93.3%でした。1社の中でも25ポイント違う月があるということです。自社の実績であって、ほかの物件で同じ数字が出るという意味ではありません。
冬に増える作業は、具体的に何ですか
増えるのは5つで、そのうち4つは清掃とは別の作業です。
- ◆除雪:入口と通路の雪を、降った日の朝までに片づけます。清掃の入れ替え日とは無関係に、降雪のあった日に発生します
- ◆暖房の稼働確認:冷えた部屋の第一印象は取り返しがきかないので、到着前に温めておきます
- ◆凍結防止:予約と予約のあいだが空いた部屋の水回りを、水抜きか最低限の暖房維持で守ります
- ◆冬版の案内文:路面、靴、暖房の操作、雪の日のごみ出し。通常の案内とは別に用意します
- ◆玄関まわりの消耗:マット、滑り止め、融雪剤。消耗品(自社12か月で売上の4.2%)のうち冬に膨らむ側です
このうち除雪だけは、清掃業者の標準の見積りに入っていません。契約の前に、誰がいつやるのかを文にしてください。なお敷地の外へ出した雪の扱いは市区町村ごとに違い、変わることもあります。人づてに聞かず、その住所で区役所か市の除雪の窓口に確認してください。
除雪は誰に頼むのが正解ですか
正解は担い手の種類ではなく、降った日の朝までに終わる体制になっているかどうかです。
| やり方 | 向く条件 | 弱いところ |
|---|
| オーナー本人 | 同じ市内に住み、降雪日の朝に動ける | 出張と体調が、そのまま穴になる |
| 清掃チームに除雪込みで委託 | 入れ替えと除雪の担当が同じで連絡が一本になる | 降雪日と清掃日はずれるので、別建ての料金設計が要る |
| 除雪業者と個別契約 | 間口や駐車場が広く、機械が要る | 小さな入口の雪かきだけでは請けてもらいにくい |
金額は地域と間口で大きく変わるので、相場をひとつの数字では書きません。見積りは3点をそろえて聞くと比較になります。出動の条件(何センチ降ったら来るのか)、対象範囲(入口だけか、通路と駐車場も含むか)、運び出した雪の扱いです。
冬の光熱費は、収支のどこに出ますか
自社の12か月では、電気が売上の2.6%、ガスが1.0%でした(2026年8月21日時点、運営データ)。
ただしこれは東京を含む6室の年間平均で、札幌の冬を切り出した数字ではありません。水道は請求が2か月ごとで元帳の外にあり、この集計に入っていません。実際は、この合計より少し重くなります。
検討中の物件にこの率をそのまま当てないでください。セントラルヒーティングの建物と、各室のエアコンとパネルヒーターの建物では、金額も使い勝手も変わります。内見で確認できます。
凍結でいちばん高くつくのは何ですか
空室が続いた部屋の配管です。破裂すると修繕費だけでは終わらず、その先に入っていた予約も落ちます。自社の修繕は売上の1.1%に収まっていますが(12か月、運営データ)、事故が起きていないから成り立っている数字です。
- ◆空室が続く見込みが立った時点で、水抜きか最低限の暖房維持かを部屋ごとに決める
- ◆暖房を維持する部屋は、設定温度を下げすぎない。電気代を惜しんで配管を壊すのがいちばん高い
- ◆清掃の入れ替えのたびに、水が出るか暖房が動くかを目視で確認する。冬の入れ替えは点検日を兼ねます
- ◆長い空室のあと最初のゲストを迎える前に、人が入って通水と暖房を確認する
冬のゲストは何でつまずきますか
路面、靴、暖房の3つで、どれも到着した日の夜に起きます。氷の上を歩いた経験のないゲストがほとんどです。自社の案内では、駅からの道順を冬に撮った写真に差し替え、靴の注意を先に書き、暖房の操作を機種の写真つきで載せています。深夜の「暖房がつかない」は、多くの場合ブレーカーでも故障でもなく、操作が分からないだけです。
設備でいちばん冬に効いたのは洗濯乾燥機でした。雪で濡れたものが翌朝乾いているかどうかは、滞在の印象を変えます。自社は364件のレビューで加重平均4.9です(2026年8月21日時点)。冬のレビューは、部屋の暖かさと入口の足元の2点に集まります。
冬支度はいつ始めればいいですか
10月のうちに終わらせてください。11月に始めると間に合いません。理由は2つあります。ひとつは稼働で、11月は年間最低の68.3%です。手が空いて見える月が、収入のいちばん薄い月です。もうひとつは予約の入り方で、自社の予約は中央値で42日前に入ります(449件、12か月)。12月から2月の予約は10月から12月にほぼ入り終わる計算です。冬の売上は、雪が降ってからでは動かせません。
- ◆9月:除雪の担い手を決め、出動条件と範囲を契約の文にする
- ◆10月:暖房と給湯の動作確認、冬版の案内文の更新、玄関まわりの消耗品の入れ替え
- ◆11月:初雪の前に一度、入口から部屋までをゲストの動線で歩く
- ◆12月から3月:降雪日ごとの除雪と、空室の凍結管理
東京の会社に札幌の冬を任せて大丈夫ですか
判断の材料は会社の所在地ではなく、除雪の担い手が現地にいるかどうかです。
私たちが札幌をお引き受けできるのは、自社の3室と清掃・除雪の体制がその街にあるからです。頼むのが正しくない場合も書きます。札幌市内にお住まいで降雪日の朝に毎回動ける方なら、ご自身のほうが早くて安く済みます。管理組合が敷地の除雪を引き受けている建物なら、私たちの価値のうちひとつは最初から不要です。対応エリアは東京23区と札幌だけで、それ以外の雪国はお受けできません。
冬の収支の組み立ては民泊の収支:月次P/Lの読み方、市場と許可の話は札幌で民泊を始めるに書いています。
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