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民泊の収支:月次P/Lの読み方と、消える利益のありか

2026年8月6日 · 河邊亜美, All Good Stay 代表

カレンダーと硬貨、緑茶のある机

民泊の話は売上で語られがちです。「月商50万円」は聞こえがいい。でもオーナーの口座に残る金額は、その行から長い引き算を経た後の数字です。この記事はその引き算を1行ずつ見ていきます。

私たちは自分の宿を運営し、お預かりした物件には毎月この構造のレポートをお出ししています。ここで使う数字は説明のための丸めた仮の例で、実際の金額は物件と季節でまったく変わります。構造と比率の感覚を持ち帰ってください。

月次P/Lの構造

最後の行から、さらにオーナー側の固定費が引かれます。家賃または住宅ローン、保険、固定資産税、そして初期投資の回収分。「売上の4〜5割が変動費に消える」という比率感覚だけでも、候補物件の見立てが現実的になります。

仮の(月)売上比の目安
宿泊売上(税・清掃料込みの総額)50.0万円100%
OTA手数料(Airbnb等)−7.5万円10〜18%
清掃・リネン実費−6.0万円8〜15%
水道光熱・通信−2.5万円3〜7%(札幌の冬は倍)
消耗品・小修繕−1.0万円1〜3%
宿泊税−1.0万円自治体・単価による
運営代行(売上の20%の場合)−10.0万円15〜25%
オーナー手取り(ここから固定費)22.0万円40〜50%が健全圏

利益が消える4つの典型ポイント

  • 清掃費の設計ミス:ゲスト負担の清掃料と実費のズレ。1泊2名の予約が続くと、清掃料収入より清掃実費が高くつく物件があります。最低泊数と清掃料の設定は収支の問題です
  • 季節の谷を平均で隠す:年平均40%の物件は、実際には「冬80%・春20%」かもしれません。谷の月に固定費を払えるかが事業の生死を分けます。札幌の記事書いた二峰性はこの話です
  • 価格を動かさない:同じ稼働でも、需要日に単価を取れるかで月の売上は2〜3割変わります。埋まっているのに儲からない物件は、たいてい安く埋まっています
  • 小さな漏れの累積:使い放題のアメニティ、把握されていない光熱費、更新されない保険。1行ずつは小さくても、合計すると手取りの1割を食べていることがあります

月次レポートで見るべき数字

オーナーとして毎月見るべき数字は、実は4つだけです。売上、稼働率、平均単価(ADR)、そして手取り。このうち一番説明力があるのは平均単価です。稼働が高くて単価が低いなら安売りを、稼働が低くて単価が高いなら強気すぎを疑う。両方低いなら掲載と写真の問題です。

私たちがお預かりする物件の月次レポートには、この4つに加えて費用の全行とレビューを載せています。数字を見せない運営を信用しないでください、というのは費用の記事書いたとおりです。

自分の物件の収支見立てを頼む

よくあるご質問

手取りは売上の何%が普通ですか。
変動費(OTA・清掃・光熱・消耗品・代行)を引いた段階で売上の40〜50%が健全な目安です。そこから物件側の固定費が引かれるので、最終的な利益率は物件の取得・賃借条件で大きく変わります。
自主運営なら代行費の分だけ儲かりますか。
計算上はそうですが、価格調整・ゲスト対応・清掃管理の時間が毎日発生します。その時間を時給換算すると代行費を超えるオーナーが多く、また対応の質が落ちるとレビュー経由で売上側が下がります。ご自身の時間の値段で判断してください。
月商はどのくらい正確に予測できますか。
周辺の類似物件の稼働と単価から、季節ごとの幅つきでの予測は可能です。点の予測「月商○円になります」)を断言する会社には注意してください。私たちの見立ても必ず幅でお出しします。
赤字の月があってもよいのですか。
季節商売なので、谷の月の単月赤字は設計の範囲内です。問題は年間で回るかどうかと、谷の月の資金繰りです。12か月の累計で見る習慣が、単月の数字に一喜一憂するより大事です。

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