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空き家を民泊にする:費用、期間、向く物件と向かない物件

2026年8月6日 · 河邊亜美, All Good Stay 代表

改装中の和室に差し込む光

相続した家がある。転勤で空いた部屋がある。固定資産税だけ払い続けている物件を、民泊にできないかと考える。ここまでは自然な流れです。ただ、私たちに相談が来る空き家のうち、実際に民泊化をおすすめできるのは半分もありません。

理由は単純で、民泊化には初期費用がかかり、それを回収できるかは物件の場所と構造でほぼ決まっているからです。決まっている部分を最初に確認すれば、無駄なお金を使う前に答えが出ます。この記事はその順番で書きます。

最初の30分で決まること

お金をかける前に、次の3つを確認します。どれも無料で調べられます。

  • 用途地域:住居専用地域なら旅館業の許可は原則出ません。市区町村の都市計画図で確認できます。民泊新法(年180日まで)なら住居専用地域でも可能な自治体が多く、ここで進む道が分かれます
  • 分譲マンションなら管理規約:民泊禁止の規約があれば、その時点で終わりです。戸建てにはこの制約がありません
  • 駅からの距離と街の需要:徒歩10分を超えると予約は目に見えて減ります。周辺で実際に稼働している民泊があるかは、AirbnbやBooking.comの地図で誰でも確認できます

向く物件、向かない物件

「向かない」に2つ以上当てはまる物件は、民泊以外の使い道を考えたほうが結果的に得です。それについては最後に書きます。

向く向かない
立地駅徒歩10分以内、観光か出張の需要がある車がないと生活できない場所(訪日ゲストは車を借りません)
建物構造がしっかりした戸建て、図面が残っている大規模な耐震・雨漏り補修が先に必要な建物
広さ4名以上が泊まれる広さ(ファミリー需要が取れる)極端に狭い、または広すぎて清掃費が重い
周辺生活音に寛容な環境、コンビニと飲食が徒歩圏近隣との距離が近く音の問題が出やすい密集地

費用の実際

空き家の状態で大きく変わりますが、内訳はいつも同じです。目安として、生活できる状態の戸建てを旅館業許可で宿にする場合で書きます。

  • 許可関連:消防設備(自動火災報知設備など)で数十万円から、図面の作り直しが必要ならさらに数十万円。詳細は旅館業許可の取り方書きました
  • 内装と設備:壁紙、水回りの整備、エアコン。状態次第でゼロから数百万円まで
  • 家具と備品:ベッド、リネン、キッチン用品、Wi-Fi。4名定員でおおむね50万〜100万円
  • 撮影と掲載:プロ撮影と日英の掲載文で10万円前後
  • 予備費:古い家は開けてみて分かる問題が必ず出ます。総額の1〜2割を見てください

期間は、旅館業許可で3か月から6か月、民泊新法の届出ならもっと短くなります。どちらの制度が向くかは物件と目標収益によって変わり、ここが最初の分かれ道になります。制度の違いは旅館業と民泊の違い参照してください。

収支をどう見積もるか

楽観的な見積もりが一番の失敗要因です。私たちは逆から計算することをおすすめしています。周辺の似た物件の実際の稼働と価格をプラットフォームの地図で確認し、その7割で回った場合に、清掃費、水道光熱費、消耗品、宿泊税、代行手数料を引いて手元にいくら残るか。その数字で初期費用を何年で回収できるかを見ます。

回収が5年を超える見積もりになったら、その物件は民泊には向いていません。3年以内で回る物件は、たいてい最初の30分の確認の時点で筋が良いと分かります。

民泊にしないほうが良い場合

正直に書きます。次の場合は、民泊より他の使い道が得です。

  • 駅から遠く観光需要も薄い:普通賃貸か月極の家として貸すほうが、手間なく安定します
  • 大規模修繕が先に必要:修繕費を民泊収益で回収するのは長い道です。売却との比較を先にしてください
  • とにかく手間をかけたくない:民泊は「貸したら終わり」ではありません。代行に任せても、オーナーとしての判断は毎月発生します

私たちにご相談いただいた場合も、この判断から始めます。民泊に向かない物件に立ち上げ費用を使ってもらっても、誰も得をしないからです。向くと判断した物件は、許可の取得から運営開始まで立ち上げプランお引き受けします。

物件が向いているか診てもらう

よくあるご質問

ボロボロの古い家でも民泊にできますか。
構造と雨漏りが無事なら、内装の古さはむしろ味になります。逆に構造に問題がある場合、その修繕費は民泊収益で回収できる規模を超えがちです。先に建物の診断をおすすめします。
田舎の空き家でも需要はありますか。
場所によります。有名な観光地の近くや、スキー場・温泉のある地域なら車移動前提でも需要はあります。ただ私たちがお受けできるのは東京23区と札幌市のみなので、その外の物件は地元の管理会社を探すことをおすすめします。判断基準はこの記事のとおりです。
民泊新法(180日)で始めて、あとから旅館業に切り替えられますか。
できます。実際、需要を確かめてから消防設備に投資したい場合には合理的な順番です。ただし住居専用地域では新法でしか営業できないため、切り替えの前提となる用途地域の確認だけは最初にしてください。
自分では何も分からない状態ですが、相談できますか。
住所と写真だけで構いません。用途地域、周辺の需要、おおよその費用感まではそれだけで見立てられます。無料相談からどうぞ。

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