自社3棟6室の12か月(2025年10月から2026年9月、2026年10月1日時点)で、消耗品は売上の4.4%、設備・備品修繕は1.0%でした。あわせて5.4%で、消耗品は単体でも清掃17.0%に次ぐ2番目に大きい費目です(計算方法とあわせて運営データに公開しています)。
ただしこの5.4%は、毎月5.4%として出ていきません。同じ12か月を月別に分けると、最小は1.5%、最大は12.4%でした。初期にいくらかけるかという問いは、実務では「交換の山をいつ、どれくらいの高さで来させるか」という問いです。
初期の家具と設備に使ったお金は、あとでどの費目に出てくるのですか
消耗品と設備・備品修繕の2行に出てきます。自社の12か月では4.4%と1.0%、あわせて売上の5.4%でした。
消耗品には、滞在のたびに減る物(リネン、アメニティ、電池、キッチンの小物)と、寿命で入れ替える小さい備品が同じ行に乗ります。設備・備品修繕は、冷暖房、給湯、洗濯機のように、止まると滞在そのものが止まる機械の修理です。
最初に何を選んだかは、この2行の高さではなく、間隔に出ます。安い物を選んでも平均は下がらず、次の交換が早く来るだけです。
| 費目 | 売上比(自社6室、2025年10月から2026年9月) |
|---|
| 消耗品 | 4.4% |
| 設備・備品修繕 | 1.0% |
| この2行の合計 | 5.4% |
| 参考:清掃 | 17.0% |
| 参考:公開している運営費の合計 | 27.8% |
5.4%は、毎月同じように出ていくのですか
いいえ。自社の12か月では、月あたり1.5%から12.4%まで動きました。平均の5.4%を超えたのは2026年1月、2月、3月、7月の4か月だけで、金額ではその4か月が12か月の支出のおよそ6割を占めています。
設備・備品修繕にいたっては、12か月のうち6か月がちょうどゼロでした。機械は毎月少しずつ壊れるのではなく、何も起きない月と、まとめて来る月に分かれます。
下の表は、同じ2行を月別に分解したものです。運営データに公開しているのは12か月の合計のほうで、月別の内訳は自社の実績表から出しています。
| 月 | 消耗品 | 設備・備品修繕 | 合計 |
|---|
| 2025年10月 | 0.9% | 1.2% | 2.1% |
| 2025年11月 | 1.1% | 1.5% | 2.6% |
| 2025年12月 | 2.1% | 1.4% | 3.5% |
| 2026年1月 | 10.2% | 2.2% | 12.4% |
| 2026年2月 | 1.9% | 4.7% | 6.6% |
| 2026年3月 | 6.4% | 0.0% | 6.4% |
| 2026年4月 | 4.6% | 0.0% | 4.6% |
| 2026年5月 | 3.8% | 0.0% | 3.8% |
| 2026年6月 | 1.5% | 0.0% | 1.5% |
| 2026年7月 | 10.1% | 0.0% | 10.1% |
| 2026年8月 | 3.5% | 1.3% | 4.8% |
| 2026年9月 | 4.6% | 0.0% | 4.6% |
なぜ平らにならず、山になるのですか
同じ日に揃えた物は、同じ時期に寿命が来るからです。
開業のときは、6室ぶんのリネン、枕、調理器具、家電をほぼ同じ週に入れ、そのあとの使われ方も似るので、交換の時期も揃います。稼働83.7%、平均3.3泊なら1室あたり月7回から8回入れ替わるので、消耗の進み方は住んでいる部屋とは別物です。
山そのものは消せません。消せるのは高さです。同じ物を全室に一度に入れるのをやめ、寿命の違う物を混ぜておくと、交換が年をまたいで分かれます。
最初にきちんと買うべきなのは、どれですか
全員が必ず使い、代わりがなく、壊れると滞在が止まる物です。
自社の6室すべてに入れているのは、洗濯機、浴槽、冷暖房、遮光カーテン、炊飯器、電気ケトル、電子レンジ、冷蔵庫、調理一式です(各室の設備は宿泊ページに公開しています)。乾燥機能は6室のうち5室にあり、残る1室は物干しで代用しています。部屋の性格が違っても、この層だけは揃えました。
判断の基準は値段ではなく、壊れた日に何が起きるかです。冷暖房が止まれば滞在が止まり、返金と移動の手配になります。食洗機が止まっても、滞在は止まりません。
逆に、最初はかけなくてよいのはどれですか
一部のゲストしか使わない物と、無くても滞在が成立する物です。自社では食洗機が6室のうち1室だけ、ベビーベッドと子ども用食器も同じ1室だけです。
入っているのは定員10名の一棟貸しで、扱う食器の量が他の部屋と桁違いだからです。定員2名の部屋には入れていません。同じ基準で揃えても、定員が変われば答えは逆になります。
ここで混ざりやすいのが、「安い物を買う」と「買わない」の区別です。買わない判断は費用をゼロにします。安い物を買う判断は、交換の回数を増やすだけで、ゼロにはなりません。
定員のいちばん上の数人は、何の上で寝ていますか
自社6室のうち4室では、ソファベッドか布団です。
札幌の3室は定員5名、5名、4名ですが、ベッドはそれぞれ3台で、最後の1名はリビングのソファベッドです。亀有の2階は定員10名に対してベッドが7台、残りはソファベッドと布団になります。定員を増やす方法としてはいちばん安く、面積も使いません。
ただし安さの代償はレビューに出ます。自社の評価は398件で4.9ですが、同じ基準で回している部屋のあいだに差が出る理由はレビュー評価の記事に書いたとおりで、寝床の質はその一つです。定員の上限を何名と書くかは、設備の決定ではなく、どんなレビューを受け取るかの決定です。
下見のとき、初期費用を見積もるために何を見ていますか
買う物ではなく、あとから買い替えられない物を見ています。家具と家電は入れ替えられますが、洗濯機を置く場所と排水は入れ替えられません。
- ◆給湯の能力と風呂の形。定員に対して湯が足りるか
- ◆冷暖房の台数と設置年。部屋数に対して足りているか
- ◆洗濯機の置き場所、排水、搬入経路
- ◆分電盤の容量。家電を足していける余地があるか
- ◆インターネット回線の引き込みがあるか、工事が要るか
- ◆窓の数と向き。遮光でどこまで対応できるか
- ◆収納。リネンの予備を何セット置けるか
- ◆搬入経路。階段の幅、エレベーターの有無
消防や許可に関わる設備は、この話に含まれますか
含みません。別枠で、物件ごとに所轄に確認する項目です。
上の2行は運営の費用で、許可のための設備工事はその前の段階に属します。何を、どの順番で、誰に確認するかは旅館業許可の取り方に手順として書きました。所轄と建物で答えが変わるため、ここで一般論は書きません。
空き家から始める場合は、設備以前に建物側で決まる部分が大きいので、空き家を民泊にするを先に読む価値があります。
自社がやっていること、約束しないこと
初期費用の総額を金額で公開していません。建物の状態、定員、既存設備の有無で何倍も動くので、平均値を出しても判断の役に立たないからです。見積もりは、その物件で取った相見積もりからしか出ません。
代わりにやっているのは、お預かりした物件の消耗品と設備・備品修繕を最初の数か月だけ別建てで測ることです。自社の4.4%と1.0%は6室の平均で、その物件の数字ではありません(費目全体の見方は民泊の運営コストに書いています)。
そのうえで、オーナーの物件の稼働も費用比も約束しません。約束するのは、その物件自身の2行を測り、次の交換がいつ来るかを前もって出すことです。山を消すことはできませんが、来る月を知っていれば、その月に現金を用意しておくことはできます。