民泊を始めるとき、最初に決めるのは物件でも内装でもなく、どの制度で営業するかです。選択肢は実質2つ。旅館業法の許可(簡易宿所)か、住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出か。私たちは自分の宿をすべて旅館業許可で運営し、代行としては新法の物件もお預かりしています。どちらの言い分も中から見てきた立場で書きます。
よくある説明は「新法は簡単、旅館業は大変」です。間違いではありませんが、これは手続きの話であって、事業の話ではありません。オーナーにとって本当の違いは1行です。新法は年間180日しか売れない。つまり理論上の売上が最初から半分になります。
ふたつの制度を、事業として比べる
180日の意味を具体的にすると、稼働率です。365日のうち180日しか売れないということは、満室で回しても稼働率は49%が天井です。周辺の similar が年70%で回る市場なら、新法の物件は構造的に3割引きの売上で戦うことになります。
| 旅館業許可(簡易宿所) | 民泊新法(届出) |
|---|
| 営業日数 | 上限なし | 年180日まで |
| 手続き | 許可制。保健所・消防・図面・検査 | 届出制。書類中心で軽い |
| 初期投資 | 消防設備などで重くなりがち | 軽く始められる |
| 用途地域 | 住居専用地域は不可 | 住居専用地域でも可の自治体が多い |
| 自治体の上乗せ | 少ない | 区・市による日数や曜日の追加制限が入りやすい |
| 向く設計 | 通年で回す事業 | 副収入、季節集中、需要の試運転 |
どちらが向くかは、物件と目的で決まる
- ◆旅館業向き:駅近で通年需要がある、初期投資を回収する前提の事業、複数室、法人での運営。上限のない売上が投資を正当化します
- ◆新法向き:住居専用地域にある(そもそも旅館業が選べない)、自宅の一部や別荘の空き期間、まず需要を確かめたい、初期費用を最小にしたい
- ◆迷ったら:数字で決めます。周辺相場の稼働と単価で年間売上を両制度で試算し、初期費用の差額を何年で回収できるか。回収が2〜3年に収まるなら旅館業に寄せる価値があります
現実的な順番という第三の答え
二者択一に見えて、実は順番の問題にできる場合があります。まず新法の届出で軽く始めて需要を確かめ、数字が立つと分かってから旅館業許可を取りに行く。消防設備への投資を、実データを見てから決められるのがこの順番の価値です。
ただし前提がひとつ。住居専用地域の物件は旅館業に「あとから切り替える」ことができません。この順番が使えるのは、最初から旅館業が取れる用途地域にある物件だけです。だから結局、最初に確認するのはいつも用途地域です。確認の仕方は旅館業許可の取り方に書きました。
私たちの立場
自分たちの宿を全て旅館業許可にしているのは、通年で回す事業として設計しているからです。一方で、お預かりする物件については制度を条件にしません。新法の物件も、これから決める物件も、無料相談で両方の試算を並べてお出しします。
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