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旅館業許可と民泊新法、オーナーはどちらで始めるべきか

2026年8月6日 · 河邊亜美, All Good Stay 代表

庭で分かれるふたつの小道

民泊を始めるとき、最初に決めるのは物件でも内装でもなく、どの制度で営業するかです。選択肢は実質2つ。旅館業法の許可(簡易宿所)か、住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出か。私たちは自分の宿をすべて旅館業許可で運営し、代行としては新法の物件もお預かりしています。どちらの言い分も中から見てきた立場で書きます。

よくある説明は「新法は簡単、旅館業は大変」です。間違いではありませんが、これは手続きの話であって、事業の話ではありません。オーナーにとって本当の違いは1行です。新法は年間180日しか売れない。つまり理論上の売上が最初から半分になります。

ふたつの制度を、事業として比べる

180日の意味を具体的にすると、稼働率です。365日のうち180日しか売れないということは、満室で回しても稼働率は49%が天井です。周辺の similar が年70%で回る市場なら、新法の物件は構造的に3割引きの売上で戦うことになります。

旅館業許可(簡易宿所)民泊新法(届出)
営業日数上限なし年180日まで
手続き許可制。保健所・消防・図面・検査届出制。書類中心で軽い
初期投資消防設備などで重くなりが軽く始められる
用途地域住居専用地域は不可住居専用地域でも可の自治体が多い
自治体の上乗せ少ない区・市による日数や曜日の追加制限が入りやすい
向く設計通年で回す事業副収入、季節集中、需要の試運転

どちらが向くかは、物件と目的で決まる

  • 旅館業向き:駅近で通年需要がある、初期投資を回収する前提の事業、複数室、法人での運営。上限のない売上が投資を正当化します
  • 新法向き:住居専用地域にある(そもそも旅館業が選べない)、自宅の一部別荘の空き期間、まず需要を確かめたい、初期費用を最小にしたい
  • 迷ったら:数字で決めます。周辺相場の稼働と単価で年間売上を両制度で試算し、初期費用の差額を何年で回収できるか。回収が2〜3年に収まるなら旅館業に寄せる価値があります

現実的な順番という第三の答え

二者択一に見えて、実は順番の問題にできる場合があります。まず新法の届出で軽く始めて需要を確かめ、数字が立つと分かってから旅館業許可を取りに行く。消防設備への投資を、実データを見てから決められるのがこの順番の価値です。

ただし前提がひとつ。住居専用地域の物件は旅館業に「あとから切り替える」ことができません。この順番が使えるのは、最初から旅館業が取れる用途地域にある物件だけです。だから結局、最初に確認するのはいつも用途地域です。確認の仕方は旅館業許可の取り方書きました。

私たちの立場

自分たちの宿を全て旅館業許可にしているのは、通年で回す事業として設計しているからです。一方で、お預かりする物件については制度を条件にしません。新法の物件も、これから決める物件も、無料相談両方の試算を並べてお出しします。

自分の物件で試算してもらう

よくあるご質問

180日はどう数えますか。
毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間で、人を宿泊させた日数を数えます。宿泊させていない空室)はカウントされません。自治体への定期報告で実績を報告します。
新法の物件は180日以外の日をどう使えますか。
マンスリー契約(30日以上の賃貸借)に切り替えて埋める運用が代表的です。短期と月貸しを組み合わせる設計は、180日制限の中で売上を伸ばす現実的な方法です。
特区民泊という選択肢もあると聞きました。
国家戦略特区の一部自治体(東京では大田区など)には、2泊3日以上を条件とする特区民泊の認定制度があります。営業日数の上限はありませんが、対象エリアと条件が限られるため、該当区の物件の場合にだけ検討対象になります。
いま新法で運営中です。旅館業に切り替える価値はありますか。
180日を使い切って予約を断っている状態なら、検討の価値が高いです。逆に180日も埋まっていないなら、切り替えても売上は増えません。まず埋まらない理由(価格、掲載、レビュー)を直すのが先です。

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