物件が1件で自宅の近くにあり、平日の昼と夜に自分が動けるなら、自主運営のほうが手元に残ることが多いです。代行を売っている会社の記事としては変ですが、順番として先に書いておきます。
理由は単純で、代行料は運営費の中でいちばん大きい費目になるからです。自社の実績では清掃が売上の17.5%で単独最大の費目ですが、代行料は市場で15%から25%、自社は20%からで、これは清掃より大きい(2026年8月時点、自社3棟6室の12か月、2025年8月から2026年7月。数字は運営データに公開しています)。それだけ払って何を買っているのかが、この記事の中身です。
自分で運営すると、月に何回動くことになりますか
1室あたり月におよそ7.6回、ゲストが入れ替わります。自社6室は稼働83.6%、平均3.3泊で回っているので、30日の月に売れる泊数は約25.1泊、それを3.3で割った回数です。入れ替わりごとに、動く仕事が一式あります。
時間の数字はあえて出しません。自社の6室は一つのチームと一つの道具で回っているので、1室分に割り直した時間は測定ではなく按分になるからです。代わりに、1回の入れ替わりで発生する仕事を並べます。自分でやるなら、この表を1か月だけ時計を持って埋めれば、自分の数字になります。
| いつ | 何が起きるか | 自分でやる場合の動き |
|---|
| 予約が入った時 | 確認、到着時刻と人数の確認 | メッセージ、多くは英語 |
| 到着前日 | 入室方法と道順の案内 | 定型文でも送る人は要る |
| 到着当日 | 入れない、鍵、Wi-Fiの問い合わせ | 夜が多い(24時間対応) |
| 滞在中 | 設備の不具合、近隣からの連絡 | 現地へ行くかどうかの判断 |
| 退室後 | 清掃の手配と写真での確認、消耗品の補充 | 清掃員か自分が現地へ |
| 数日後 | レビューへの返信、次の予約の準備 | 自社には364件、評価4.9のレビューがあります |
| 毎日 | 価格と最低泊数の更新 | 来月の半分は42日前に売れています |
代行料は、他の費目と比べてどれくらい大きいのですか
運営費の中で最大の費目になります。自社が公開している運営費は売上の27.9%で、内訳は清掃17.5%、消耗品4.2%、電気2.6%、修繕1.1%、宿泊税1.1%、ガス1.0%、保険0.4%です。代行料を20%とすると、清掃一つより大きく、清掃を除いた残り6費目の合計10.4%のほぼ2倍です。
つまり代行に任せると、運営費の比率は27.9%から約47.9%まで上がります。この27.9%には家賃と管理手数料と水道が入っていないので、実際の合計はもう少し上です(運営コストの内訳)。代行を選ぶかどうかは、この20ポイントを自分の時間で置き換えられるかどうかの判断です。
| 費目 | 売上比 | 自主運営 | 代行 |
|---|
| 代行料 | 15%から25%(自社は20%から) | 0 | かかる |
| 清掃 | 17.5% | かかる(自分で掃除しない限り) | かかる |
| 消耗品と光熱費 | 7.8% | かかる | かかる |
| 修繕、宿泊税、保険 | 2.6% | かかる | かかる |
| 自分の時間 | 数字にならない | 毎日と毎晩 | 月次の確認のみ |
自分で運営すれば、その20%はそのまま残りますか
残りません。消えるのは代行料だけで、他の費目は一つも消えないからです。清掃は誰かに払うか自分の手でやるかのどちらかで、消耗品も光熱費も同じです。
代わりに現れるのが自分の時間と、代行が数でこなしている仕事です。価格は毎日動かす必要があり、自社では予約から到着までの中央値が42日なので、来月の稼働は今日の値付けですでに半分決まります(予約リードタイム)。夜の連絡は月に数回でも、鳴るかどうかわからない状態が毎晩続きます。清掃は写真で毎回確認しないと、評価が下がってから気づきます(清掃の現場)。この3つを自分で続けられるなら、20ポイントは自分のものです。
境目はどこですか
距離、件数、夜、言葉の4つで決まります。自社の判断基準を表にします。
| 条件 | 自主運営に向く | 代行に向く |
|---|
| 物件と自宅の距離 | 設備の不具合に自分で行ける距離 | 行けない、または本業の時間に行けない |
| 件数 | 1件 | 2件以上(入れ替わりも夜の連絡も件数分) |
| 夜間 | 毎晩スマートフォンを枕元に置ける | 翌朝の仕事に響く |
| 言葉 | 英語のメッセージを自分で返せる | 返せない、または遅れる |
| 価格 | 毎日カレンダーを見て動かせる | 月に一度しか見ない |
| 清掃 | 退室のたびに写真を確認できる | 清掃員に任せきりになる |
境目を自分の数字で確かめる方法
3行の計算です。代行料を自分の時間に換算して、実際に使う時間と比べます。
- ◆1つ、1か月だけ上の表の仕事をすべて自分でやり、かかった時間を記録する。入れ替わり7.6回なら、それぞれの回で何分動いたかを足す。
- ◆2つ、その月の売上の20%を、自分の1時間の価値で割る。それが代行料が買う時間の長さです。売上の額そのものは人によって違うので、ここに数字は書きません。
- ◆3つ、1で測った時間が2より短ければ自主運営が得、長ければ代行が得。ただし2の計算に、夜の待機と本業への影響は入っていません。そこを自分でどう値付けするかで、答えが変わります。
自分で運営するなら、最初に決めておくこと
5つあります。どれも後から整えるより、最初の月に決めるほうが安く済みます。
- ◆価格を動かす曜日と時間を決める。毎日が無理なら週2回、ただし42日先まで見る。
- ◆自分が出られない日に、誰が連絡を受けるかを決める。旅行と入院は必ず来ます。
- ◆鍵まわりの故障だけは、時間を問わず起こしてよい業者か人を決めておく。
- ◆清掃のたびに写真を送ってもらう取り決めを、清掃員と最初に結ぶ。
- ◆月次の数字を毎月同じ形で残す。稼働、平均泊数、清掃回数、費目別の売上比。2年目からはこれが自分の基準になります(月次P/Lの読み方)。
代行を選ぶなら、何を確かめますか
料率より先に、上の表の仕事が誰の手でどう回るかを聞いてください。価格を毎日動かしているか、夜の連絡を誰が受けるか、清掃を何で確認しているか、月次レポートの実物を見せてもらえるか。料金モデルと契約前に聞く5つの質問は運営代行の費用にまとめてあります。
枠組みも先に確かめます。自社は住宅宿泊管理業者の登録を持たないため、お預かりするのは旅館業許可の物件か、その取得に向かう物件だけです。自分の物件がどちらの枠組みにあるかは旅館業許可と民泊新法の比較に、緊急時に運営者が現地へ着くべき時間の考え方は管轄の保健所に確かめてください。
私たちに頼まないほうがいい場合
物件が1件で自宅の近く、英語のメッセージを自分で返せて、毎晩スマートフォンを枕元に置いてよいなら、私たちは要りません。その条件なら20ポイントは自分で持つほうが合理的で、そう申し上げます。
頼む価値が出るのは、条件が重なったときです。物件が遠い、2件以上ある、本業がある、夜に起きたくない、英語で返せない。このうち2つ以上が当てはまると、自主運営の時間は月の中でいちばん高い時間になります。私たちが約束するのは稼働の数字ではなく、上の表の仕事を自社の6室と同じ手順で回し、月次の数字をそのまま出すことです。ここに出した数字はすべて自社の実績で、お預かりする物件に出る数字ではありません。
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