運営代行の契約書は、料率の欄ではなく、辞める日にいくらかかるかを決める8か所から読みます。料率は毎月の話で、契約書を読み違えて失うものは、たまったレビュー、撮った写真、先まで入った予約のように一度しか失えないものだからです。
私たちは自社の契約書を書く側で、同時に乗り換えのご相談で他社の契約書を読む側でもあります。ここに書くのは、どの条項を、どこを見て、書いていなければ辞める日に何が起きるかです。数字は2026年8月時点、自社3棟6室の12か月(2025年8月から2026年7月)の実績で、運営データに方法とあわせて公開しています。
契約書は、どの順番で読めばいいですか
辞める日に失うものが大きい条項から読みます。順番は、掲載アカウントの名義、写真と掲載文、予告期間、解約日をまたぐ予約、「売上」の定義、違約金、月次の数字と受け渡し、備品と鍵の名義の8つで、料率はその後です。
読み方は各条項で同じです。書いてあるか。書いてあるなら誰の側に有利か。書いていないなら、辞める日に何が起きるかを相手に聞き、その答えを契約書に足してもらえるか。三つ目で渋る会社は、そこで判断がつきます。
| 条項 | 見るところ | 書いていないと辞める日に起きること |
|---|
| 掲載アカウント | 誰の名義か。解約時にレビューを引き継げるか | 掲載とレビューが会社に残り、次はゼロから |
| 写真と掲載文 | 解約後も使えるか。元データを受け取れるか | 撮り直しと書き直し |
| 予告期間 | 何か月前か。予約の入り方と合っているか | 先の予約を持ったまま出られない、または捨てる |
| またぐ予約 | 前受金、報酬、対応の3つを誰が | 入金と対応が宙に浮く |
| 売上の定義 | OTA手数料と清掃料を引く前か後か | 同じ料率で支払いが変わる |
| 違約金 | 根拠は何か。実費との比較 | 根拠のない額を言われる |
| 月次の数字 | 何を毎月受け取り、終了時に何を渡されるか | 自分の物件の数字が手元にない |
| 備品と鍵と清掃の名義 | 所有と契約が誰の名義か | 家具と鍵と清掃チームが一緒に出ていく |
掲載アカウントとレビューは、誰の名義になりますか
最初に確かめるのはこの条項です。AirbnbやBooking.comの掲載は一つのアカウントに属し、レビューはそのアカウントに積み上がります。会社の名義で掲載されていれば、解約と同時に掲載は取り下げられ、次の会社でも自分でも、レビューのない新規掲載から始めることになります。
失うものの大きさは、自社の数字で見当がつきます。6室で364件のレビューが平均4.9でたまっていて、これは運営の記録そのものであり、価格を上げても選ばれる理由です(レビュー評価の考え方)。契約書には、掲載がオーナー様の名義であること、会社は共同ホストか権限付与で運営すること、解約時に権限を外すだけで掲載が残ることを、この三つの言葉で書いてもらいます。すでに会社名義で運営中なら、乗り換えの手順は代行会社の乗り換えにあります。
写真と掲載文は、解約後も使えますか
解約後も使えると契約書に書いてあるときだけ、写真はオーナー様の側に数えられます。撮影費を誰が払ったかと、写真を誰が使えるかは別の話で、払ったのに解約後は使えない、という契約書は珍しくありません。
確かめるのは三つです。撮影費の負担者、解約後の使用の可否、元データ(編集前の写真と掲載文のテキスト)を受け取れるか。掲載文も同じで、書き直す手間は写真の撮り直しと同じくらいかかります。会社が撮影費を負担する代わりに写真を会社のものにする契約もあり、それ自体は取引として成り立ちますが、その場合は辞める日に撮影費がもう一度かかることを、料率に足して考えてください。
解約の予告期間は、どのくらいが妥当ですか
予告期間そのものより、予告期間と予約の入り方が合っているかを見ます。市場では1から3か月が多く、自社の予約から到着までの中央値は42日、ちょうど6週間でした(449件、予約リードタイム)。つまり予告した日には、6週間先までの予約の半分がもう入っています。
予告期間が短いほど、辞める日にカレンダーに残る予約が多く、次の項の「またぐ予約」の扱いが重くなります。長いほど、不満のある会社に長く付き合うことになります。1から3か月という市場の幅は、42日の中央値に照らすと、入っている予約をおおむね消化してから出られる長さです。契約書で見るのは、予告期間の長さと、予告の方法(書面か、メールでよいか)と、予告してから解約日までの間に新しい予約を受けるかどうかの三つです。
解約日をまたぐ予約は、どう扱われますか
前受金がどこにあるか、その予約の報酬をどちらに払うか、滞在中のゲスト対応を誰がするかの三つを、契約書が決めているかを見ます。この三つが書いていない契約書は多く、書いていなければ辞める月の入金と対応が宙に浮きます。
自社の平均滞在は3.3泊で、稼働83.6%なら1室あたり月におよそ7.6回の入れ替えがあります(自主運営と運営代行)。切り替え日をどこに置いても、その前後に到着と出発が並ぶということです。実務で一番揉めにくいのは、解約日をチェックインの区切りに合わせ、その日より前に到着したゲストは最後まで旧会社が対応し、その日以降の到着は新しい体制で受ける形です。前受金は、解約日より後の到着分をどちらが持つかを一覧にして書面で確定します。契約書にこの決め方が書いてあれば、辞める月はほぼ静かに終わります。
「売上の20%」は、何の20%ですか
「売上」の定義の条項で、OTA手数料と清掃料を引く前の金額か、引いた後かを見ます。同じ20%でも、何にかけるかで支払いが変わります。
プラットフォーム手数料は掲載サイトと設定で売上の3%から16%です(運営代行の費用)。手数料を引く前の金額に20%をかける契約と、引いた後にかける契約では、20%にその幅をかけた0.6から3.2ポイント分、売上に対する支払いが違います。清掃料をゲストの支払いに含めている場合、それが「売上」に入るかどうかでも変わります。
同じ条項で見るのは、あと二つです。予約のない月に固定の支払いがあるか(成果報酬型を名乗っていても最低料金がある契約はあります)と、キャンセル料や追加ゲスト料金など、宿泊料以外の入金に料率がかかるかです。料率の比較はこの定義をそろえてからで、それより前に15%と20%を並べても意味がありません。
| 「売上」の定義 | 20%がかかる金額 | 手数料を引く前と比べた差 |
|---|
| OTA手数料を引く前 | ゲストが払った全額 | 基準 |
| OTA手数料を引いた後 | 入金額 | 売上の0.6から3.2ポイント少ない |
| 清掃料を除いた宿泊料 | 宿泊料のみ | 清掃料の扱いで変わる。契約書で確認 |
違約金と月次の数字は、どう読みますか
違約金は、その額が何の計算から出たかを聞き、会社が立ち上げで先に負担した実費(撮影、掲載作成、備品)と比べて読みます。実費を回収する額なら取引として筋が通り、月の報酬の何か月分という額なら、その根拠を聞いて答えが返るかを見ます。答えが返らない額は、辞める日の値段に足しておいてください。
月次の数字は、書いていない契約書が普通です。毎月受け取るものを条項にしてもらいます。稼働、販売した泊数、平均滞在、清掃の回数、費目ごとの売上比、そして解約時に予約データを受け取れることです。数字が手元にないと、次の会社に移るときも自分で回すときも、物件の実績を証明できません。何を読むかは月次P/Lの読み方に書きました。レポートの実物を契約前に見せてもらえない会社は、たいてい出していません。
家具、スマートロック、清掃チームは、誰の名義ですか
所有と契約の名義を、三つ別々に見ます。家具と備品は誰が買って誰のものか、スマートロックとその管理契約は誰の名義か、清掃は会社専属のチームか、オーナー様が直接契約できる相手かです。
書いていなければ、辞める日に家具は残っても鍵の管理契約は会社と一緒に出ていき、清掃チームも会社と一緒に離れます。自社の6室は建物ごとに鍵の方式が違い、そのどれも管理契約の名義次第で引き継ぎの手間が変わります(鍵の受け渡し)。契約書には、会社が立て替えた備品の精算方法と、鍵と清掃の契約を終了時にオーナー様の名義へ移せることを書いてもらいます。移せないなら、それも辞める日の値段です。
私たちの契約書と、この8か所
私たちの契約書も、この8か所でそのまま読んでください。掲載アカウントとレビューはオーナー様の名義で、報酬は売上の20%から、予約のない月は0円です。月次の数字は毎月お渡しし、乗り換えでお受けする場合は既存のご予約をそのまま引き継ぎ、引き継ぎ作業そのものに費用はいただいていません(代行会社の乗り換え)。「売上」の定義と予告期間と違約金は、お見積もりの契約書で条項の場所を指してご説明します。
この記事は、どの会社と契約するときにも同じ8か所を見てほしくて書きました。8か所すべてに答えが返り、契約書に書いてもらえるなら、料率が多少高くても辞める日は安く済みます。逆に料率が低くても、掲載が会社名義で写真が使えないなら、その差額は辞める日にまとめて払うことになります。ここに出した数字はすべて自社の実績で、お預かりする物件に約束する数字ではありません。
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