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オーナーへの月次報告:合計1行にすると、同じ月の東京60.0%と札幌83.3%が消えます

2026年10月9日 · 河邊亜美, All Good Stay 代表

窓辺の机に揃えて置かれた白紙の束と、その上に置かれた細い金属縁の眼鏡

月次報告がうまくいったかどうかは、読み終わった人が何かを決められたかで分かります。売上と稼働が前月より上か下か、それだけが残る報告は、読み終わっても打つ手が出てきません。差がつくのは長さではなく、数字の並べ方です。

以下は、2025年10月から2026年9月の12か月に東京と札幌の3棟6室で受けた489件の予約の運営記録から書いています(2026年10月1日時点、数え方は運営データに公開しています)。割合と泊数と件数だけで書き、金額は出しません。

月次報告は、何のために出すのですか

翌々月に何を変えるかを、オーナー様が自分で決められるようにするためです。

読み終わったときに、値付け、最低泊数、備品、写真のうちどれを動かすかが決まっていなければ、その報告は記録ではあっても道具ではありません。逆に言えば、載せる数字は「これが動いたら何をするか」を言えるものに絞れます。言えない数字は紙を厚くするだけです。

自社6室について毎月この形で集計し、お預かりしている物件にも同じ形でお出ししています。理想の様式の話ではなく、毎月実際に作っている様式の話です。

読んで決められる報告と、安心するだけの報告は、どこが違うのですか

違いは数字の数ではなく、数字に行動がひもづいているかどうかです。

同じ項目でも、書き方ひとつで分かれます。下の表の右側は、すべて自社の報告に入っている形です。

項目安心するだけになる書き方決められる書き方
稼働率全体で83.7%でした部屋ごとに、前年同月と並べる。下がった部屋は単価と最低泊数のどちらが原因かまで書く
売上前月を上回りました泊数と単価に分ける。どちらが動いたかで打ち手が変わる
費用諸経費として1行費目ごとに売上比で全行。清掃だけで17.0%ある
先の予約載っていない翌月と翌々月の、今日までに売れた泊数
レビュー平均の星だけその月に付いた件数と、下がった理由の原文
現地のできごと特記事項なしいつ、どの部屋で何が起きて、何時間で直したか

なぜ、部屋ごとに分けるのですか

合計の1行は、いちばん手を入れるべき部屋を隠すからです。

12か月の平均は全体83.7%、東京85.0%、札幌82.2%で、都市の差はないように見えます。ところが2026年9月は、全体71.7%の内訳が東京60.0%、札幌83.3%でした。同じ月に23ポイントの開きです。合計だけなら「9月は弱かった」で終わり、どちらの都市に何をするかは出てきません。

月でも同じことが起きます。この12か月、全体の稼働は71.7%から90.3%まで動いています。年平均の83.7%は、その幅の真ん中にあるだけの数字です(稼働率)。

粒度の目安も同じ割り算から出ます。489件を6室12か月で割ると、1室で月およそ6.8組、6室で月およそ41組が入れ替わります。41組の滞在を1行に畳めば、何も見えないのは当たり前です。

窓際の木の棚に、同じクリーム色のカップが6つ横一列に並んでいる

自社の月次報告には、何が載っていますか

6つの固まりです。順番も毎月同じにしています。並びが毎月変わる報告は、前の月と比べられません。

  • 部屋ごとの実績:稼働率、泊数、平均単価、前年同月。6室ぶんを縦に並べる
  • 先の予約:翌月と翌々月の、今日までに売れた泊数。前年の同じ日の数と並べる
  • 費用の全行:費目ごとに売上比。畳まない。入っていない費目も名前を書く
  • レビュー:その月に付いた件数、平均、下がった理由の原文
  • 現地のできごと:設備の不具合、苦情、返金。いつ、どの部屋、何時間で収めたか
  • 来月こちらが変えること:3つまで。前月に書いたことの結果も一緒に書く

閉じた月だけの報告では、なぜ間に合わないのですか

読んだ時点で、手が届く月がもう2か月先になっているからです。

自社の予約リードタイムは中央値42日です。9月の報告が10月の上旬に届くころ、11月の夜はもう半分近くが売れています。つまり閉じた月の数字しか載っていない報告は、読んだ人に何も変えさせられません。今日の値付けが効くのは主に再来月です(料金は毎日見直します、予約リードタイム)。

だから報告には、閉じた月と同じ重さで、翌月と翌々月の「今日までに売れた泊数」を入れています。これだけでは強いか弱いか分からないので、前年の同じ日に売れていた泊数を隣に置きます。比べる相手がない数字は、報告の中でいちばん読み飛ばされます。

費用は、どこまで細かく出すべきですか

費目ごとに、売上比で全行です。「諸経費」の1行は、いちばん管理できる費目を隠します。

自社の直近12か月は、清掃17.0%、備品4.4%、電気2.7%、宿泊税1.6%、修繕1.0%、ガス0.7%、保険0.4%で、合計27.8%でした(家賃と運営代行料は除く、2026年10月1日時点)。清掃を除く6費目の合計は10.8%なので、清掃ひとつが残り全部の約1.6倍あります。費用を1行に畳むと、唯一まとまった額を動かせる費目が、その1行の中に消えます(運営コスト、民泊の清掃)。

報告に入っていない費目も名前を書きます。自社の集計にはこの12か月の水道料金がありません。元の帳簿にその行がないからで、27.8%は実際より小さい数字です。入っていないことを書かない報告は、精度が低い報告より悪くなります。読んだ人が、全部入っていると思って判断するからです。

宿泊税は報告では1行の費目として扱い、誰がいつ納めるかはここでは書きません。自治体で扱いが違い、変わるからです(宿泊税は誰がいつ払うのか)。

窓辺の木の棚に高く積まれた白いタオルの束と、その横に置かれた小さなリネンの重ね

レビューを月次報告に載せるのは、なぜですか

星が、来季の予約の先行指標だからです。

自社6室には398件のレビューがあり、平均は4.9です(2026年10月1日時点)。平均は件数の上に積まれているので、1件の低評価ではほとんど動きません。先に動くのは掲載の順位と、その部屋の翌月の予約です。月次の売上が落ちた理由が、2か月前のレビューに書いてあることがあります。

だから報告には、その月に付いた件数と平均に加えて、評価が下がった投稿の原文を入れます。要約しません。要約すると、直せる場所が真っ先に消えるからです(レビュー評価)。

代行会社に報告を求めるとき、何を聞けばいいですか

様式を見せてもらうのが、いちばん早くて確かです。報告について口で説明できる会社と、先月の実物を名前を消した状態で出せる会社は、別の会社です。

契約前に聞くなら、この7つです。料率の話より先でかまいません。報告が薄い会社は、料率が安くても後から判断の材料がありません(運営代行の費用、運営代行の契約書)。

  • 先月の報告を、他のオーナー様の名前を消した状態で見せてもらえますか
  • 毎月何日に届きますか。遅れた月はありましたか
  • 部屋ごとに分かれていますか。合計だけですか
  • 費用は費目ごとですか。「諸経費」の1行にまとまっていませんか
  • 翌月と翌々月の、今日までに売れた泊数は載りますか
  • 報告に入っていない費目はどれですか
  • 元データを出してもらえますか。予約1件ずつの一覧のことです

代行に任せると、ここは何が変わりますか

変わるのは、オーナー様が数字を作る側から、読んで決める側に回ることです。

自主運営でいちばん時間を取るのは、判断そのものより材料をそろえる作業です。プラットフォームの明細、清掃の実費、光熱の請求、レビューを一か所に集めて同じ形に直すところまでが毎月の仕事になります(自主運営と運営代行)。お預かりしている物件には上の6つの固まりで毎月お出しし、日本国外にお住まいのオーナー様には英語でも出します。

お預かりするのは東京23区と札幌市で、旅館業許可で動いている物件か、これから許可を取る物件です。年180日の民泊新法のまま運営をお任せいただくことはできません(旅館業許可と民泊新法)。同時にお預かりするのは5件までで、下見のうえでお断りすることもあります(お断りする物件)。

報酬は売上の20%からの成果報酬で、予約のない月に固定の支払いはありません。この記事の数字はすべて自社6室の記録で、お預かりする物件の稼働率や評価をお約束するものではありません。

物件の状況を送って、月次報告の様式を見る

よくあるご質問

月次報告には、最低限何が載っていればいいですか
6つです。部屋ごとの実績(稼働率、泊数、平均単価、前年同月)、翌月と翌々月の今日までに売れた泊数、費目ごとの費用を売上比で全行、その月に付いたレビューの件数と平均と下がった理由の原文、現地で起きた不具合や苦情とその収束までの時間、そして来月その会社が変えること。順番は毎月同じであることが大事です。並びが変わる報告は前の月と比べられません。合計だけの1行、「諸経費」の1行、先の予約が載っていない、この3つのどれかがあれば、読んでも打つ手は出てきません。
全体の稼働率だけでは、なぜ足りないのですか
同じ月のうちに、部屋と都市で大きく開くからです。自社の例で言うと、12か月の平均は全体83.7%、東京85.0%、札幌82.2%でほとんど差がないように見えますが、2026年9月は全体71.7%の内訳が東京60.0%、札幌83.3%で、23ポイントの開きがありました(2026年10月1日時点、運営データ)。合計だけ見ていれば「9月は弱かった」で終わり、どちらの都市に何をするかは出てきません。月そのものも動きます。この12か月、全体の稼働は71.7%から90.3%の間で動いていて、年平均はその幅の真ん中にあるだけの数字です。
報告はいつ届くのが普通ですか
何日かよりも、何日に出すと決まっていて、遅れるときに先に連絡が来るかどうかのほうが大事です。自社は翌月の上旬に出しています。月が替わってすぐ出せない月があるのは、プラットフォームの明細と清掃の実費が揃うのを待つからです。ただし、閉じた月の数字がいつ届くかは、実はそれほど効きません。予約リードタイムの中央値が42日なので、報告が届くころには翌月の夜は半分近く売れていて、値付けで動かせるのは主に再来月です。だから遅れるかどうかより、翌月と翌々月の売れ行きが毎回載るかどうかを先に確認してください。
代行会社の報告が正しいか、確かめる方法はありますか
元データを請求して、自分で足してみることです。予約1件ずつの一覧(到着日、泊数、人数、経路、金額)があれば、報告の売上と泊数はその合計と一致するはずです。合わないときは、どちらが正しいかではなく、何が足されて何が引かれているかを聞いてください。もう一つは、プラットフォームの入金明細との突き合わせです。オーナー様は自分の物件の掲載を自分で見られる立場にあるので、ここは誰にも頼らず確認できます。あわせて、報告に入っていない費目を毎回書いてもらってください。自社の場合はこの12か月の水道料金が元の帳簿になく、合計27.8%は実際より小さいと報告に明記しています。

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